「けテぶれ」は、実践を重ねてから本を読み返すことで、さらに学びが深まるように設計されています。宿題改革の成功には、子どもたちが主体となる授業づくりを並行して進めることが不可欠です。また、モチベーションはコントロールするものではなく、波のように「乗りこなす」という視点が、子どもと自身の心を理解する上で重要になります。
### はじめに:リスナーの皆様からのコメントにお答えします
「けテぶれチャンネルプレミアム」にご参加いただき、誠にありがとうございます。 この企画では、リスナーの皆様からいただいたコメントに全てお答えしていきます。本解説は、書籍『けテぶれ宿題革命!』を深く読み解くものですが、すでに何度も読んで実践されている方にとっても、新たな発見があるはずです。
私自身、執筆から5年経ち、考えがアップデートされた部分もありますので、その点も踏まえながら解説を進めていきます。
### Q1. 繰り返し読むことで、さらに学びが深まりますか?
> きたさんのコメント > 何度も読み返したつもりでしたが、実践を重ね、放送を聞くことでさらに深い学びにつながりそうです。コメントも毎回できるように学んでいきます。
ありがとうございます。「けテぶれ」関連の本は、一度読んで終わりではなく、何度も長く読んでもらえるように意識して作っています。ブログなら一時的な情報で十分ですが、書籍という形でお届けするからには、長く手元に置いていただける価値のあるものにしたいと考えています。
特に、実践してから読み返すと、全く見え方が変わってくるというご意見を多くいただきます。例えば、『自由進度学習のはじめかた』(通称ピンク本)などは、子どもに任せる学びを一度やってみてから読み返すと、本当に多くのことに気づけるはずです。
きたさんのように、すでに深く実践されている方にも新たな学びがあると感じていただけるのは、大変嬉しいことです。
### Q2. 「けテぶれ」は思いつきから始まったのですか?
> フレデリックスさんのコメント > けテぶれは思いつきから始まったのですか?その方に提案を受け取ってもらえた方からこそ、けテぶれがスタートしたと思うと、一緒に組んでいた先生の懐の深さを感じずにはいられません。自分が提案を受ける側だったらどうしていただろう。
ご質問の通り、「けテぶれ」は本当に思いつきから始まりました。「とりあえずやってみよう」と始めたところ、子どもたちが爆発的に伸びたのがきっかけです。ですから、皆様もまずは気軽に試してみてほしいと思います。
ただし、ここで一つ重要な前提をお伝えしなければなりません。私が「けテぶれ宿題」を実践していた当時、授業の主導権はすでにほとんど子どもたちの手に渡っていました。私の発言はすべて、子どもが主体となる授業が並走していることを前提としています。
もし、授業では先生が一方的に教え、子どもたちをがんじがらめにしているのに、宿題だけ「自分たちで必要な学びを見つけよう」と伝えても、そのちぐはぐさが子どもたちの取り組みを鈍らせてしまう可能性があります。
宿題を改革するなら、ぜひ授業のあり方も見直してみてください。子どもたちが1年間(200日、1000時間)やり続けられる学習の土台を作ることが何よりも大切です。
### Q3. 実践を振り返り、自分の軸を確かめたいです
> ムータロスさんのコメント > 昨年度『宿題革命』からけテぶれ実践に挑戦し、子どもたちに徐々に火がつき始めたのが秋から冬の今頃だったので、今回の総解説を聞くと過去の自分を振り返ることができそうです。初心に返って自分の芯が揺らいでいないかを確かめる1ヶ月にしたいです。
ありがとうございます。ムータロスさんのように、熱心に実践してくださっている方々にも学びになるような放送を心がけています。過去の実践を振り返り、ご自身の軸を再確認する機会として、この解説をご活用いただければ幸いです。
### Q4. 長く続く実践のすごみと、解像度が上がった実感
> 忍者さんのコメント > 私が教職に就いた10年前は「言語活用能力」、5年前は「アクティブラーニング」、そして今は「個別最適な学びと協働的な学び」とトレンドが変化する中で、「けテぶれ」という芯を変えずに5年間アップグレードしながら続いている実践の凄みを感じました。そして実践したからこそ解像度が上がり、うなずきっぱなしの40分でした。
嬉しいコメントをありがとうございます。教育界では次々と新しいキーワードが登場し、トレンドが移り変わります。その中で、5年前に出した本が今もなお多くの方に読んでいただけているのは、非常に稀なことです。
これは、「けテぶれ」が一貫したブレない軸を持っているからだと考えています。これから「ウェルビーイング」といった新しいキーワードが出てきても、その本質は変わらないという感覚があります。
また、忍者さんがX(旧Twitter)で投稿されたクラスの会話を引用させていただいた件、子どもたちが喜んでくれたと聞き、私もとても嬉しいです。
### リスナー同士の温かい交流
> ムータロスさんから忍者さんへのコメント > ここのコメント欄をツイッター的に使っていいものか迷ったのですが…私も今年10年目で忍者さんと同じぐらいの世代なので、コメント欄を見ながら共感しつつ、良い刺激をもらいながら頑張れたらと思い、勝手に思っていたところです。一緒に頑張りましょう。
このような交流、大歓迎です。この場は、参加してくださっている皆様のものです。ぜひ積極的に活用して、リスナー同士で交流し、学びを深める場にしてください。コメント欄での会話が、コミュニティ全体の盛り上がりにもつながると思います。
### Q5. モチベーションは「コントロール」ではなく「乗りこなす」?
> ワーママ先生のコメント > 「モチベーションのコントロールではなく、乗りこなし」なるほど納得です。ここなんだか子どもたちに語りながら私の中に発生する違和感でした。
良い点に気づかれましたね。おそらく、モチベーションはコントロール不可能です。だからこそ、いかにそれを「乗りこなす」かが重要になります。
これはサーフィンに似ています。波から落ちて溺れないように、沈みすぎず、逆に調子に乗りすぎないようにバランスを取る感覚です。子どもたちに説明するときも、サーフィンのイメージを伝えると分かりやすいかもしれません。
心マトリクスも、結局は同じ考え方に基づいています。私たちは常に揺れ動く波のような感情の中にいます。その自分を見失わず、感情の波に飲まれてパニックにならないように、冷静に自分を見つめるためのツールが心マトリクスです。「揺れ動くこと」や「波打つこと」を前提に、子どもたちと向き合っていきたいですね。
### Q6. なかなか結果が出ない子へのアプローチは?
> 忍者さんのコメント > 1年生の時に崩壊し、大人が7人も入ってなんとかやり過ごしたクラスを4年生で担任しています。今も平均点に届く児童が数名おり、なかなか結果に結びつきません。ただ、10点だった子が50点になるなど変容は見られます。所長ならどのようにアプローチしていくでしょうか。
大変な状況の中、子どもたちの変容をしっかり捉えて褒めているのが素晴らしいです。 私なら、まず次の2つの視点で見ます。
1. 子どもたちが勉強を嫌いになっていないか 2. 自分の学びを自分で作ることに充実感を持っているか
この2つが満たされていれば、ひとまずは大丈夫だと考えます。
その上で、もし基礎学力に課題があるなら、勉強の基本は「できるところまで戻る」ことです。例えば、授業の中に反復練習の時間を帯活動として組み込むなど、基礎力を重点的に鍛えるアプローチも有効です。本当に必要な範囲に絞って、着実に取り組んでいくことが大切だと思います。
### Q7. 「けテぶれ」で友達ができる感覚とは?
> フレデリックスさんのコメント > ずっと友達を頼らずに一人で学習を進めていた子がいましたが、一度強制的に友達と関わらせるようにしてみました。友達に頼ることの大切さに気づいたようで、様々な場面で関わることができ、表情も明るくなった気がします。
素晴らしい実践ですね。先生が少しだけ背中を押してあげることで、子どもが自分の殻を破るきっかけを作られたのだと思います。これは、学校という空間だからこそできる、非常に価値のある関わりです。
この現象を、私は「ツアー客」と「冒険者」の比喩で説明することがあります。
- ツアー客: ガイドの指示通りに、全員が同じペースで決められた道を歩くだけの関係。 - 冒険者: それぞれが自由に進みつつも、共通の道具や目的を共有している関係。
どちらがお互いに助け合うでしょうか?答えは明らかで、主体的に動く冒険者たちです。
先生にやらされているだけの受け身な状態では、他者との協力は生まれにくいです。子どもたちが自分の意志で自由に動ける場を作ってあげれば、人間は自然と協力し合うようになります。「けテぶれ」は、まさにそのような子どもたちの主体性を引き出すための仕組みなのです。
### Q8. 「モチベーションを乗りこなす」という表現が腑に落ちました
> ムータロスさんのコメント > 私もワーママ先生と同じく「モチベーションを乗りこなす」という表現が腑に落ちました。海の波をコントロールすることはできないけど、サーフィンをするように波を読めば、自分のやる気の波をメタ認知しながら学習と生活に向かっていけるんだなと思いました。
まさにその通りです。天気や波の高さをコントロールできないのと同じで、モチベーションの波もコントロールはできません。
この「コントロールできない」という前提を子どもたちと共有することで、彼らは過度に頑張りすぎたり、逆に頑張れない自分を責めたりすることが少なくなります。自分の状態を客観的に捉え(メタ認知し)、その時々の自分に合った学び方を選択できるようになるのです。
たくさんのコメント、ありがとうございました。 また来週の放送でお会いしましょう。