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けテぶれの「分析」を深める6つの観点

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けテぶれの「分析」は、テスト後に結果と気持ちを見つめ、次の練習へとつなぐための「考える時間」です。最低限は間違えた箇所を書くことから始められますが、そこに気持ちや3+3観点を加えることで、経験を省察し、自分の学び方や変化を捉える力が育ちます。分析は反省文ではなく、自分の経験から次の一歩と自分自身についての情報を取り出すための省察の入り口です。

けテぶれ全体像の中の「分析」

けテぶれは「計画・テスト・分析・練習」の4ステップで構成されていますが、この流れをもう少し抽象的に捉え直すと、「考える→やってみる→考える→やってみる」の往還が2回繰り返されていることがわかります。

けテぶれの4ステップ
けテぶれの4ステップ

計画で見通しを立て(考える)、テストで実力を測り(やってみる)、分析で結果を振り返り(考える)、練習で試す(やってみる)。この構造の中で分析は、2回目の「考える」にあたります。テストの結果を受けて何を考えるか、そこに分析の本質があります。

分析の最低ライン——「間違えた箇所を書く」だけでいい

指導の第一歩として大切なのは、「これだけやればOK」という最低ラインを示すことです。

漢字けテぶれであれば、「この字とこの字とこの字を間違えた」と書けば十分です。間違えた漢字をそのまま書けば、分析しながら1回の練習にもなります。算数であれば問題番号を書くだけでいい。最低限の記述でも、思考に勢いが生まれ、そこからプラスアルファが自然と生まれてきます。

分析が長い文章や高度な考察でなければならないというイメージは、子どもにとってもハードルになります。「間違えたところを書く」という小さな一歩が、分析の入り口です。

気持ちを書くと、学習が自分ごとになる

最低ラインを超えて、もう一歩踏み出すとすれば、テスト後の気持ちを書くことです。

100点だったら「100点やった、嬉しい」でいい。何問か間違えたなら「悔しい」でいい。昨日の成果が出たなら「昨日がんばった甲斐があった」と書く。逆に同じ箇所を再び間違えたなら「またここか、めっちゃ悔しい」と書く。それでいいのです。

こうして気持ちが入ることで、ノートと自分との距離が縮まっていきます。自分の気持ちが反映され、学習の努力がそこに現れてくる。それがだんだん楽しさにつながっていく、という流れです。分析は、学習を「自分ごと」にするための入り口でもあります。

分析の深みとは——自己省察の入り口

「間違えた箇所を書いて、気持ちを書く」は最低限の分析として十分ですが、さらに深みのある分析とはどのようなものでしょうか。

鍵になるのは、「自分の実経験を振り返る」という視点です。自己調整学習において最も大切なのは「自己を捉えること」だといわれますが、では自己はどこにいるのでしょうか。自己は、自分の経験の中にいます。自己を知るためには、自分の経験を振り返ることが必要になります。

けテぶれのテストは、「漢字を10問自分でやってみる」という些細な行為に見えるかもしれません。しかしそれは確かに自分の実経験です。その経験を振り返り、そこに自分を見つけ、自分にとって大切なものを紡ぎ出していく——これが分析の持つ省察的な意味です。けテぶれの分析は、そうした省察の入り口に位置しています。

3+3観点:6つの視点で経験を切り出す

この省察を促すための道具として、3+3の6観点を子どもたちに手渡します。前半の3つと後半の3つに分けて見ていきましょう。

3+3観点の振り返り
3+3観点の振り返り

前半の3:プラス・マイナス・矢印

前半の3観点はシンプルです。プラス(良かったこと)・マイナス(悪かったこと)・矢印(次どうするか)の3つの記号を使いこなすだけで、練習への足場かけができます。

「マイナス+矢印」で「これこれに失敗した、だから次はこうする」。「プラス+矢印」で「これこれが良かったから、次もこうする」。この2つの組み合わせだけで、分析から練習への橋が自然と架かります。

プラスの視点がないと、学習がしんどくなる

ここで特に意識したいのが、プラスの視点の重要性です。

けテぶれを回し続けると、どうしても「できていないところにばかりフォーカスが行く」という危険性があります。自分の弱点ばかりが見えてきて、できているところが曖昧なまま不安に駆られて練習する——そういうサイクルは、続けるほどしんどくなります。「自分はどこまでできるようになったか」「何に成功しているか」というポジティブな視点を、経験の中から紡ぎ出すこと。この「プラス」がなければ、学習努力は長続きしません。

けテぶれ的な学びが「改善と強化」の両輪で成り立っているのも、同じ理由からです。弱点を補う方向だけでなく、強みをさらに伸ばす方向にも目を向ける。こういうプラスの視点もちゃんと考えた上で次の一歩を見ることが、分析を豊かにします。

後半の3:びっくり・はてな・星

後半の3観点は、より深い省察へと向かいます。

びっくりマーク(!)は気づきや「大切だと思ったこと」です。「頭・胸・腹という3つがあることが分かった」という学習のまとめでもいいですし、成功の秘訣を導き出せたときにも使えます。

はてな(?)は問いや分からないことです。失敗をどう乗り越えればいいか分からないという問いもあれば、気づきから新たな問いが生まれることもあります。「なぜそうなんだろう」という単純な疑問も立派な?です。

星マーク(☆)は自分についての情報です。「自分はこういうことが好きなんだ、得意なんだ」という発見や、「前は苦手だったけど今は好きになった」という変化を星で捕まえます。この星こそが省察的な学びの主眼であり、プラス・マイナス・びっくり・はてなを経て、経験の中に自分自身を見つけていく作業です。

6観点を子どもたちに渡すことで、自分の経験から情報を意識的に抜き出せるようになります。「感想を述べるだけ」の振り返りから、一段構造的な振り返りへと変わっていくのです。

コンボ:思考の深まりを子ども自身がつかむ

6観点を使いこなしていくと、「コンボ」という意識が生まれます。

問いが出た(?)→気づきが出た(!)→そこからまた問いが生まれた(?)——これで「はてな・びっくり・はてなの3コンボ」です。プラスの発見から気づきが生まれ、気づきからアイディアへとつながる思考の連鎖が、コンボとして積み重なっていきます。

分析の難しさの一つは、「質的な深まり」が子ども自身には見えにくいことです。量を書けばいいというものではないのに、子どもには「たくさん書けたかどうか」しか判断基準がない。そこでコンボ数が、思考の深まりや広がりをつかむ手がかりになります。

「今日10コンボも思考できた」——この手応えは小学3年生でも数えられます。コンボ数は量の競争ではなく、自分の思考がどこまで連続したかを自分で把握するための道具です。家庭学習や一人で取り組む場面でも、コンボを意識することで、子どもが自律的に思考の質を高めていくことができます。

6観点は、授業の振り返りにも自由進度学習にも広がる

3+3観点は、漢字や算数のけテぶれ専用の技術ではありません。プラス・マイナス・矢印・びっくり・はてな・星という6つの視点は、教科を問わず「自分の経験を振り返る」どの場面でも使える汎用的な道具です。

授業の終わりに取られる振り返りの時間、自由進度学習の中にけテぶれ的な学びを組み込む場面——そういった幅広い実践においても、この6観点は強力な足場になります。

「広く、かつ強く」。教科や場面を限定せず、どこでも通用する分析の視点として子どもたちに手渡す。それがけテぶれの分析を深める6観点の、最も大切なねらいです。

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