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心マトリクス活用編:授業で「月」と「太陽」の学びを使いこなす方法

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授業で心マトリクスを活用し、子どもたちが自ら「月学習」と「太陽学習」を選択できるようにする方法を解説します。

それぞれの学びにおける失敗パターン(月のエネルギー切れ、太陽の暴走)と、そのサインを見極め、切り替えるための具体的な対策を紹介します。

子どもたちが自己コントロールを身につけ、他者と協調しながら学びの質を高めていくための指導のポイントを学びます。

はじめに 心マトリクス連続講義も15回目を迎え、今回からは具体的な「活用編」に入っていきます。 最も使いやすく、効果を実感しやすいのが授業での活用です。子どもたちが学習に取り組む際の選択肢をどのように提示し、学びを深めていけばよいのか、その具体的な方法について解説します。

授業の基本は「グングン(月)」と「ニコニコ(太陽)」の選択から 授業で心マトリクスを使う際、最も分かりやすい入り口は「月の学び」と「太陽の学び」という2つの選択肢を子どもたちに提示することです。

  • 月の学び:一人で集中して学ぶ
  • 太陽の学び:友達と協力しながら学ぶ

子どもたちに学習を任せる時、「今日はどちらの学び方で進める?」と問いかけることから始めます。この「月」と「太陽」をバランスよく行き来すること(往還)で、キラキラ(星)、つまり本当の学びが生まれます。

「月の学び」の限界と切り替えのサイン 一人で集中する「月の学び」は、思考を深める上で非常に重要です。しかし、そのエネルギーは長くは持続しません。エネルギーが低下すると、2つの失敗パターンに陥りやすくなります。

1. 下がる(ダラダラ(沼)ゾーン):エネルギーがそのまま落ちてしまい、考えずにただ動かされるだけの状態になる。 2. それる(イライラ(雷)ゾーン):うまくいかないことやモヤモヤした気持ちから、イライラしてしまう。

これらは、月の学びから太陽の学びへ切り替えるべき重要なサインです。

太陽への切り替え方 月のパワーが切れてきたら、意識をニコニコ(太陽)の方向へ逃がしてあげることが大切です。

  • 友達と話す:「助けて」と声をかけ、協力して取り組む。
  • 体を動かす:頭が働かなくなった時に、ストレッチや屈伸などを行う。

実際に、ある3年生の児童は、集中が切れるとロッカーの前へ行き、屈伸や伸脚をしていました。最初、周りの子からは奇異の目で見られましたが、私は「頭が止まった時に体を動かすという対策を自分で実行できたのは本当にすごいことだ」とフィードバックしました。 すると、それはその子にとって集中力を保つための有効な手段となり、一年を通して実践していました。これは、大人になっても使える一生もののスキルです。

私自身も、独立してから朝に文字起こしなどの作業をした後、ランニングに出かけます。体を動かすことで思考が刺激されたり、逆に体に意識を向けることで頭がいっぱいになった状態をリセットできたりと、心と体のバランスを実感しています。

「太陽の学び」で注意すべき「暴走」 一方、友達と活動的に学ぶ「太陽の学び」にも注意点があります。それは、エネルギーが発散しすぎて暴走状態に陥ってしまうことです。

  • 月の失敗:エネルギーが低下し、停止してしまう。
  • 太陽の失敗:エネルギーが拡散しすぎて、暴走してしまう。

太陽の学びでは、楽しさに流されすぎないよう、自分自身で 心のブレーキ をかける必要があります。自分たちが騒ぐことで、周りで集中している他の子をイライラさせてしまうかもしれません。そのネガティブなエネルギーが自分たちに返ってきて、結局自分たちも嫌な気持ちになってしまうという構造に気づかせることが重要です。

「暴走」を防ぐための具体的なアプローチ 太陽の学びが暴走しないためには、太陽の中に少しでも月成分(自己コントロール) を含ませることが鍵となります。

1. 声の大きさを意識する 最もシンプルで分かりやすい指標は声の大きさです。 「今、あなたたちが太陽の学びを選んでいる目的は、学びを生み出す(星)ためだよね。そのために必要な声の大きさと、ただ騒いでいるだけの声の大きさは違うはずだ」と問いかけます。自分たちの声が、周りで集中している子の月のパワーを減らしていないか、考えさせることが大切です。

2. 「太陽が月をかき消さない」という視点 子どもたちには、こんな比喩を使って話します。 「空には、月と太陽が同時に出ていることがあるよね。でも、太陽の光が強すぎて、月の光が見えなくなってしまう。教室という一つの空の中でも同じことが起こるんだ」

つまり、太陽の学びをしている人たちが、自分のエネルギーの出力を調整し、月の学びをしている人をかき消してしまわないように配慮することが大切だ、という視点です。この語りによって、子どもたちは他者への配慮を学び、教室全体の学びの質を高めることができます。

学びの足跡で現在地を確認し、次の一歩を促す 静かにしていても、全く関係ないことをしている場合もあります。そうした学びの質は、「けテぶれノート」などの記述で確認していきます。

ノートは、思考の跡を文字にして捕まえるものです。子どもたちがどの学び方を選択しようと、「この1時間で賢くなる」という目的に向かっているか、その足跡をノートで見せてもらいます。

もし、その日の学びで賢くならなかったとしても、その事実を指導者と本人が「今日はダメだったね」「そうでした」と共通認識を持つことができれば、それで十分です。大切なのは、その子が次の一歩をどこに踏み出すかを見守ること。踏み出すまで待つ、あるいは適切な圧をかける、という関わり方が重要になります。

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