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学習の4段階「やってみる・できる・説明できる・作る」と、作る学びの広げ方

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学習には「知る」を起点に、「やってみる・できる・説明できる・作る」という段階があります。「作る」は、説明できるようになった教科内容を使って現実を切り取ったり、問いや成果物を生み出したりするクリエイティブな活動です。作る活動には、〇〇見つけ・〇〇新聞・みんプリ・問い作りなど、複数の入口があります。自由度を上げるほど、教科書の問いの延長線上に置くという「地に足のついた学び」との接続が重要になります。

学習の段階をどう整理するか

授業でけテぶれやQNKSを取り入れていると、「次はどこへ向かうのか」という問いが生まれることがあります。子どもたちが「できるようになった」その先に、何を用意すればよいのか。今回は「やってみる・できる・説明できる・作る」という学習の4段階を整理し、特に「作る」段階でどのような活動が考えられるかを具体的に見ていきます。

まず大切な前提があります。この4段階には、さらに前の「知る」という段階があります。 教科書を読んだり、単元の内容を概観したりして、何かを知った状態がスタートです。何かを知り、問いがあることを理解できたら、まず「やってみる」という次の段階へ進みます。

やってみる — 「できる」を問う前に、取り組むこと自体を価値づける

「やってみる」は、できるかどうかを確かめる前の段階です。問いに対してひとまず取り組む。その行為そのものを価値づけることが、この段階の核心です。

「やってみたら一旦丸」という言葉があります。できるようになる、分かるようになるは、その先の話です。まず取り組んでみることへのハードルを下げ、失敗や不完全さを前提にしながら動き出す。この出発点を丁寧に設計することが、後の段階の積み上げを支えます。

「やってみる」の後は、けテぶれの思考と重なります。問いに取り組んだ(け=計画、テ=テスト)結果を見ながら「できた」かどうかを確かめます。100点が取れたなら「できる」に丸がつく。分析では「やったぞ」「天才」と記録しておき、次の練習では「なぜその答えになるのか」を説明してみます。

学びの階段
学びの階段

こうして、段階は登っていきます。やってみる→できる→説明できると積み上がる流れは、けテぶれの4ステップそのものです。テストで現在地を確かめ、分析で意味づけし、練習で説明の言葉を鍛える。この往還が土台になってはじめて、「作る」という次の世界が開きます。

できる・説明できる — けテぶれで段階を積む

けテぶれで言えば、「できる」はテストの段階で証明されます。できたことが確認されたら、次の練習で取り組むのは解き方の暗記ではありません。「なぜその答えになるのか」を説明することが、練習の内実です。

友だちや先生に説明できた、自分としても気持ちよく説明できたという感覚が「説明できる」の丸につながります。

けテぶれ×QNKS
けテぶれ×QNKS

この段階の登り方は、けテぶれとQNKSが両輪になって支えています。手を動かして試すけテぶれと、「なぜ」を言語化して整理するQNKSが組み合わさることで、「できる」が「説明できる」へと深まっていきます。学びのコントローラーを手に持ち、自分のペースで段階を確かめながら進む。その先に、「作る」の入口が広がります。

「作る」段階とは何か

説明できる段階まで来たその先に、「作る」があります。「作る」は、説明できるようになった教科内容を使って、クリエイティブな活動に展開する段階です。

これは「好きなことを何でもする自由時間」ではありません。あくまで「その教科内容・学習内容を使って」という土台の上にある活動です。作る活動は自由度が高い分、教科書の問いや説明できる段階とのつながりを保つことが重要になります。

では具体的に、どのような活動が「作る」として成立するのでしょうか。

作る活動の入口① 〇〇見つけ

もっともとっつきやすい入口の一つが「〇〇見つけ」です。

算数で割り算を学んだなら、教室の中から「割り算の景色」を探してきます。ランドセルがずらっと並んでいる場所を見つけ、「これは何個割る何個で説明できます」という言葉を添えて一枚の紙にまとめる。これが「算数見つけ」です。

国語で詩の表現技法を学んだなら、窓から見える空の景色を切り取り、その技法を使って詩に表現する。これが「国語見つけ」です。「〇〇見つけ」というスキルを渡してあげると、社会見つけ・理科見つけ・図工見つけというように、各教科で「作る」の入口が開いていきます。

「この教室の中から学習内容に合う景色を見つけてきて、一枚の紙にまとめたら、それは作るとして採用可能」 という基準は、子どもたちにとっても教師にとっても扱いやすいラインです。

見つけた場所の隣に成果物を貼るという展示も一つのやり方です。ランドセル置き場の隣に算数見つけの紙を貼れば、他の子どもたちも「この景色は算数の言葉でこう切り取れるんだ」という気づきを自然に受け取ることができます。国語見つけと図工の技法を組み合わせて、窓からの眺めを絵の具で表現するような、教科をまたいだ広がりも生まれます。

作る活動の入口② 〇〇新聞・みんプリ

「〇〇新聞」は、単元の内容を新聞の枠組みにまとめる活動です。「この単元はこういう内容です、ここに注意しましょう」という形で、通信のように仕上げていきます。見つけのように外の景色を探す必要がなく、学習内容を整理・要約して一つの成果物にするという形式です。完成したものを掲示ホルダーに入れて展示することで、作った喜びが可視化されます。

「みんプリ」は、子どもが単元内容から重要な問題を抜粋し、1枚のプリントとして仕上げる活動です。クラスで共有して使い、書き込みはせずノートで解いて、けテぶれを回しながら活用します。

みんプリのよさは、子ども同士が使い、間違いを修正し合い、だんだん「みんなで作った正しいプリント」になっていく点にあります。 間違いを見つけた子が書き直し、名前を添えておく。作成者も誇らしく、使う側も楽しい。国語のみんプリになると、絶対の正解があるわけではなく「自分の立場を表明する場」として機能するなど、教科によって広がりが変わるのも面白いところです。

教師側から見ると、よくできたみんプリをコピーしてテスト前の小テストとして使えるという実用性もあります。採用された子は誇らしく、教師はワークシート作成の手間を省ける。子どもが学習材の作り手になるという体験が、みんプリの核心です。

作る活動の入口③ 問いを作る、探究につなげる

「作る」はさらに深いところへも開けています。教科書に載っている問い以外に、自分なりの問いが見つかったら、それも「作る」として認めます。

問い作りにはQNKSが活きます。小さな問いをたくさん出すN(問いを立てる)の段階から、問い同士を組み合わせて本質的な一つの問いとして整理していく。そのプロセス自体が、知的なクリエイティブな活動です。 その問いに対して自分なりの答えを作っていく。問いと答えを自分で作るという行為は、探究としての深みを持ちます。

理科では特にこの探究が動き出しやすい場面があります。太陽の影の学習で「射光板が緑だから太陽が緑に見える」という疑問がポロッと出る。「じゃあ太陽って何色なの?」という問いに広がる。黄色、オレンジ、赤——国によって書き方が違う。光のスペクトルに展開すると「太陽には全部の色が含まれているから、太陽には色がない」ともいえる。日常の学習の延長から、こうした本質的な問いが生まれます。

マナビの海
マナビの海

日々の学習の中から問いが生まれ、その問いから探究的な思考が始まり、その探究的な思考がまた学習を深める。この円環こそが「習得→活用→探究」のつながりです。探究と教科学習が実続きになっているデザインを大切にしたいというのが、この段階の設計にある思想です。

上限の解放と、地に足のついた学びという基本軸

作る活動を豊かに用意することは、特に上位層の子どもたちにとって重要な意味を持ちます。できた子に「教えてあげましょう」だけを用意しても、需要は限られています。教えてほしい子も限られているし、自分で粘って悩む価値を体験させたい。自分の世界で粘って悩めるフィールドが残されていることが、上位層には必要なのです。

「最低限の明示と上限の解放」という設計の中で、作る活動の幅を開放することで、上位層にも自分のペースで深く入れる場所が生まれます。自分の学びの世界を極限まで展開できるフィールドを残してあげる。その姿勢が、教室の学習文化を豊かにしていきます。

ただし、作る活動の自由度が上がるほど、気をつけるべきことがあります。「できる・説明できるの段階をすっ飛ばして、いきなり作る活動から始めたい」という子どもが出ることがあります。挑戦自体は否定しません。やってみたらいい。しかし、失敗のパターンはほぼ決まっています。学びがふわふわしてしまうのです。

好き放題調べてはいるけれど、自分が何をやっているかよく分からない。活動もスカスカになっていく。大して深まらずに終わる。この状態が「地に足のつかない学び」です。逆向きの挑戦は経験として価値があり、失敗してみてはじめて地に足のついた学びの意味が実感として伝わる面もあります。

そうならないために繰り返し伝えるのが、「教科書の問いから順番に発展させていって、その延長線上に自分のクリエイティブな活動を乗せていく」 という基本軸です。この積み上げがあるほど、作る活動は楽しくなり、持続可能な深みを持ちます。まずは見つけや新聞やみんプリなど、形式が明確な入口から始めることをすすめるのは、そのためです。

まとめ

学習の段階は「知る」を前提に、やってみる→できる→説明できる→作ると進みます。「作る」は教科内容を使ってクリエイティブに展開する段階であり、〇〇見つけ・〇〇新聞・みんプリ・問い作り・探究と、複数の入口があります。

上限を解放するほど、上位層には自分で悩めるフィールドが生まれます。その一方で、自由度が高まるほど「地に足のついた学び」との接続を保つことが重要になります。形式が明確な活動から始め、少しずつ子どもたちの「作る」世界を広げていく。その積み重ねが、教科学習と探究が実続きになっている学びの場をつくります。

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