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心マトリクス講座⑥:信頼関係を築く「太陽軸」とは?〜北風と太陽の法則〜

信じて、任せて、認める心理的安全性任せる主体的な学びゆるアツ

心マトリクスの横軸は「太陽と北風」で表現され、人間関係の質を示します。右側の「太陽」は信じて思いやる心であり、自分も相手も笑顔になる温かい状態です。左側の「北風」は疑い自己中な心で、自分も相手も嫌な顔になる冷たい状態を指します。

はじめに:過去の講義への質問も大歓迎です 心マトリクスの連続講義も、今回で6回目となりました。毎日濃い内容でお届けしているため、消化不良になったり、リアルタイムで追えなくなったりすることもあるかもしれません。皆さんの状況を見ながら、ペースを調整することも考えていますので、ぜひご意見をお聞かせください。

また、講義が進んでいても、過去の回に関する質問はいつでも大歓迎です。Voicyの良さはリアルタイムで質問できる点にありますので、どの回の内容でも気にせずコメントをいただければ、優先的に取り上げていきたいと思います。

リスナーからのコメント紹介と考察 今回も直近の講義にいただいたコメントをいくつかご紹介します。

脳科学との関連性(ママ先生より) > 私は子どもたちに脳科学を根拠に正しい脳の休め方を指導しています。これは沼に落ちる術でもあり、また脱出方法だったのかと気づかされました。

ありがとうございます。私が展開する理論は、脳科学のような科学的な知見と深く関連しています。心マトリクスを学んでくださっている方こそ、脳科学などの本を読むと、多方面から理解が深まるのでおすすめです。

「豊かに放っておく」ことの本質(広瀬さんより) > 事実をもとに現在地を確認、そして心マトリクスで言語化。休むことと切り替えることに価値を置くと。いつもながら観察する力というか心がまえというか、その大きさに驚かされます。自分なら(子どもが寝てしまったら)戻ってくる前に声をかけてしまいそうです。そしてうまくいかずにイライラするという構図が見えます(笑)。豊かに放っておくことは、信じて思いやることなんだなと思いました。

「心がまえが大きい」というよりは、「声をかけて無理やり変えさせようとしても無駄だ」という感覚が強いのかもしれません。子どもを自分の思い通りにコントロールしようとすることに、あまり可能性を感じていないのです。

判断を保留し、相手を信じる 授業中に寝ている子に「起きろ」と言ったところで、次の時間も眠ってしまうでしょう。大切なのは、その子の行動の先まで見届けることです。

寝てしまったという行為が良いか悪いかは、その後の行動によって決まります。すぐに断罪するのではなく、まずは様子を見る。「まだ確定していない」という状態です。これは量子力学の「シュレーディンガーの猫」のように、観測するまでは事実は確定しないという考え方に似ています。

信頼関係を壊さないために 子どもには、その子なりの「正しさ」があります。それを理解しようとせず、表面的な行動だけで否定してしまうと、信頼関係は築けません。そんなことをしてくる相手を、信頼したいとは思わないはずです。だからこそ、私はすぐに判断を下さず、判断を留保するようにしています。

ゆる」と「アツ」のバランス もちろん、何でも許すわけではありません。ダメなことはダメだと伝えなければ、ただ緩いだけの空間になってしまいます。

以前、担任をしていた6年生に「先生はあまり怒らないけど、本当にダメって言われた時は逃げ場がなくて息ができなくなる」と言われたことがあります。私が本気で「ダメだ」と言うときは、あらゆる可能性を考え、その子を信じようと努力した上で、それでもなお「ダメだ」と判断した時です。その子の表情や行動を観察し、洞察した上での結論なので、相手も逃げ場がなくなるのでしょう。

本当に効果的な圧をかけるためには、相手をしっかり見る必要があります。そうでなければ、その圧は簡単に逃げられてしまいます。この「ゆる」と「圧」のバランスが非常に重要なのです。

心マトリクスの横軸:「太陽」と「北風」 それでは今日の本題、心マトリクスの横軸について解説します。この軸は「太陽軸」とも呼ばれ、寓話『北風と太陽』をモチーフにしています。

  • 北風(左側):冷たい風を吹きつけて、力ずくで旅人のコートを脱がせようとする。
  • 太陽(右側):ポカポカと温めることで、旅人が自らコートを脱ぎたくなる環境を作る。

この考え方が、心マトリクスの左右のゾーンに対応しています。

ニコニコ(太陽)ゾーン:信じて思いやる マトリクスの右側は太陽ゾーンです。ここでのキーワードは「信じて思いやる」です。

この「信じる」と「思いやる」は、人と人との関係性を紡ぐ上で非常に重要な2つのベクトルだと考えています。

  • 信じる:相手を信じて待つという、自分発信のベクトル。
  • 思いやる:信じてくれている相手の気持ちに応えようとする、相手発信のベクトル。

この2つがうまく循環することで、良好な関係が築かれます。恋愛や夫婦関係を例に考えても、お互いを信じ、思いやることが関係の基盤となっていることがわかります。

この状態のとき、マトリクスには「人も自分も笑顔」と記されています。誰かの笑顔を目指しているうちに、いつの間にか自分も笑顔になっている。これが、自分が太陽ゾーンにいるサインです。

モヤモヤ(曇)ゾーン:疑い自己中 反対に、マトリクスの左側は北風ゾーンです。キーワードは「疑う」と「自己中」です。

この状態のときは「人も自分も嫌な顔」になります。自分の意見を北風のように相手に吹きつけたり、相手を疑ったり、自分本位な考えに陥っている状態です。

  • モヤモヤ(曇)ゾーン:「相手が間違っている」といった思いが自分の中で渦巻いている段階。
  • イライラ(雷)ゾーン:その思いが行動に現れ、相手を批判したり、文句を言ったりする段階。

このように、内面の状態と外面の行動を区別して認識することが大切です。

具体例:教室を飛び出す子どもへの対応 教室を飛び出してしまう子がいたとします。その子を追いかけるという行為は、「信じて思いやる」行為でしょうか、それとも「疑い自己中」な行為でしょうか。

「自分たちのルールが正しく、あなたは間違っているから連れ戻さなければならない」という発想は、相手を疑い、自分たちの正しさだけを押し付ける自己中心的な考え方です。たとえ連れ戻すことに成功しても、その子も、そしてあなたも笑顔にはなれないでしょう。

  • 「きっと戻ってくる」と信じること。
  • 「今は教室を出たいんだな」という気持ちを思いやる(尊重する)こと。

です。 「先生は、あなたが私たちのことを思いやって必ず帰ってきてくれると信じているから、ここでは追いかけません」と伝えたことがあります。これが「信じる」と「思いやる」の一つの形です。

もちろん、これを実践するには、その子を信じられるだけのデータの蓄積が必要です。飛び出した先で危険なことをしないか、ちゃんと戻ってくるかなどを、事前に(声をかけずに後を追うなどして)観察し、安全を確認した上で「信じる」という選択をします。

まとめ:温かい環境が人の「心のコート」を脱がせる 教師という立場は、自分が正しいと思いがちで、「疑い自己中」という北風ゾーンに陥りやすいものです。「私の言うことが正しい」と子どもを疑い、自分本位な関わり方をすれば、子どもは心を閉ざし、信頼関係は築けません。

大切なのは、太陽のように温かい環境を作ることです。 子どもを信じ、その子の気持ちを思いやる。そうした心理的安全性の高い「ポカポカした教室」であれば、子どもたちは自ら「心のコート」を脱ぎ、自分らしさを発揮し始めます。そうなれば、子どもたちはキラキラと輝きながら、自分で考えて動き出すのです。

学級経営心理的安全性が重要だと言われるのは、まさにこの土台作りにつながるからです。まずは、あなたの周りが太陽のように温かい場所になっているか、見つめ直してみてはいかがでしょうか。

次回は、マトリクスの中心にある「自分(地球)」というゼロポイントについてお話しする予定です。