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算数のけテぶれが間に合わないときの時間術

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算数の教科書まとめページやドリルで、けテぶれを計画・テスト・分析・練習まで1時間内に回しきれないという声は少なくありません。この記事では、「問題数は減らせる」という発想の転換と、教科書・ドリルの構造を読み解いて代表問題を選ぶ考え方を紹介します。問題数を減らす目的は楽をすることではなく、現在地を効率よく確かめ、分析と練習へ届く時間を確保するためです。この発想は、問題量に困る下位層にも、全問やることに意義を見出せない上位層にも、同じように使えます。

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きっかけ:「1時間内にけテぶれが回しきれない」

名古屋での校内研修のあと、こんな質問をいただきました。

小学校2年生を担任されている先生からのご質問です。算数の学習でけテぶれを取り入れており、教科書の一番後ろにある「まとめのページ」をけテぶれで扱っているのですが、計画・テスト・分析・練習まで、1時間内に全部回すことがなかなかできない。どうしたらいいか、という内容でした。

この悩みは、けテぶれを本気で取り組んでいるからこそ出てくる問いです。「とりあえず問題を解いて終わり」ではなく、「練習まで届かせたい」という意識があるからこそ、時間が足りないことが問題になる。まず、そこにある姿勢自体が大切だと感じます。

私がお答えしたことを、大きく2つに分けてお伝えします。

答え①:問題数は減らせる

まず前提として、「全問やらなくてよい」という発想を、教師側が持っておくことが重要です。

教科書のまとめページを見てみてください。多くの教科書では、「大問1」「大問2」のように四角で囲まれた大きなかたまりがいくつかあり、それぞれの中に①から④のような小問が並んでいます。

この構造を読み解くと、「大問の数=その単元で学ぶべき問題種類の数」になっています。大問1から大問5があるとすれば、5種類の問題を網羅することが、このまとめページの役割です。

大問はすべて取り組む必要があります。でも、大問の中の小問をすべてやる必要はありません。

大問1という種類の問題に対して、「自分は答えられるか、答えられないか」が確かめられれば十分です。そこで注目したいのが、教科書に色や印がついている問題です。たとえば①と③だけ薄い緑色になっている、という構造の教科書があります。色や印がついているということは、「この種類の中でも特に着目すべき問題」として教科書が示しているサインである可能性があります。

ただし、すべての教科書やドリルが同じ構造になっているわけではありません。教科書会社やドリルの種類によって異なりますから、まず手元の教材の構造を確かめることが先決です。

ドリルの場合も同様です。計算問題が1番から20番まで並んでいるページでも、よく見ると印がついている問題があることがあります。そこが「注目すべき問題」として設計されている可能性が高い。

20問をすべてやるという選択しか持たない状態から、問題の中で最も重要なものを抜き出して、簡潔に実力を確かめていくという選択ができるようになること。これが、学び方の見方・考え方が変わるということです。

けテぶれ図
けテぶれ図

けテぶれという枠組みで考えると、まとめページやドリルは「テスト」のフェーズにあたります。テストの目的は、この単元の学習内容が自分の中に定着し、実行できるかどうかを確かめることです。

全問やることがテストの目的ではなく、現在地をつかむことがテストの目的です。

問題種類を押さえた代表問題に絞ることで、現在地の確認は十分に行えます。そしてそこで浮かび上がった苦手や気づきを分析して練習へと進む、その時間を確保することこそが、問題数を絞る本当の理由です。

答え②:下位層にも上位層にも使える発想

この「問題数を絞る」という発想は、時間内に終われない子どもだけに当てはまるものではありません。

下位層への使い方

問題数が多すぎて時間内に終われない子どもに対しては、代表問題に絞ることで、まずテストを完結させます。そこで苦手が見つかれば、分析と練習へと進む時間が生まれます。

問題数を減らすことで苦手が見つかり、それを分析して練習すれば賢くなる。そのサイクルでけテぶれが回ります。時間がなくて練習まで届かなかったのが、問題数を絞ることで届くようになる。そういう構造の変化です。

上位層への使い方

一方で、上位層の子どもにとっても、この発想は有効です。「全部分かっているのに、なぜ全問やらなきゃいけないの」という気持ちは、ある意味では理解できます。

ではこの層にどう言うか。まず、「できるかどうかはやってみて確かめなければならない」という点は変わりません。やってみもせずに「できる、できる」とあぐらをかいて、結果できなかったというのが最も避けたい状態です。 だから代表問題・印のついた問題だけやる。それで現在地を確かめる。ここまでは下位層と同じです。

問題は、その後です。

代表問題4問をやって100点が取れたとします。計画・テストは終わっています。ここで「終わった」と満足してしまうと、それはけテぶれではなく、「ただやって終わる」勉強になってしまいます。活動はあっても学びがない、という状態です。

練習のイメージ
練習のイメージ

けテぶれにおいては、練習まで届いて初めて賢くなります。 上位層の子が100点を取った後、空いたスペースに何をするかが問われます。

答えは「100点以上」、つまり説明です。

たとえばドリル専用ノートを使っているなら、20問分のスペースがあるのに4問しか解いていなければ、残りのスペースは空いています。そこに何をするか。1番の問題を解いたなら、2番・3番・4番の空きスペースに「1番がなぜその答えになるのか」を、言葉と図で説明するのです。

これが、思考を文字にして捕まえるということです。答えを出すだけでなく、「なぜそうなるのか」を言葉と図で表現するプロセス——これはQNKSの実践にも通じます。知っているだけでなく、説明できる状態にして初めて、その知識は本当の意味で自分のものになります。100点取得後の説明こそが、上位層のけテぶれを深める場所です。

子どもへの語り:楽するためではなく、賢くなるために

こうした工夫を実際の授業に取り入れるとき、教師から子どもへの語りが重要になります。

「楽するためじゃなくて、効率的に賢くなるために、この手段を選んでいる」ということを、きちんと子どもに伝えてください。

問題数を減らすと聞くと、「楽していいんだ」という誤解が生まれる可能性があります。そうではなく、この範囲で最も大切な問題を選んで現在地を確かめ、そこから分析・練習へ進む時間を確保するために、この選択をしているのだということを、子どもと共有することが大切です。

「全部の問題やらなくていい」という発想を教師の側が持ち、その意図を丁寧に語る。それによって子どもは、「手を抜く許可」ではなく、「自分で学び方を選んでよいという信頼」を受け取ることができます。これが、自分なりの学び方を育てることにもつながっていきます。

まとめ:両層に共通する軸

下位層にも上位層にも、一貫して伝えたいことが一つあります。

けテぶれにおいて、練習まで届いて初めて賢くなる。

下位層は、苦手を見つけ、分析し、練習することで賢くなる。上位層は、100点取得後に説明することで賢くなる。スタートは違っても、どちらも「活動があって終わる」ではなく、「活動を通して確かに賢くなる」という方向を向いています。

問題数を絞ること、代表問題を選ぶことは、その軸を守るための工夫です。算数のまとめページやドリルでけテぶれが練習まで届かないと感じているなら、まず「問題数を減らせる」という視点から見直してみてください。そして手元の教材の構造を確かめ、子どもの実態に合わせて使い方を考える。どの層の子どもにも、確実に効率よく賢くなる経験を届けるために、教師側がこの発想を持っておくことが出発点です。

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