コンテンツへスキップ
サポーターになる

けテぶれとQNKSで止まった学びを動かす授業実践録

Share

総合・算数・理科・体育・国語の5時間を通して、けテぶれとQNKSが教科を横断してどのように動くかを描いた授業実践録です。算数の大テストでは、即時フィードバックと見直しシートによる自己採点を組み合わせて大分析へつなぎ、間違いを「成長の種」として子どもが自分の現在地をつかめるようにしました。理科では、遊び的な活動を否定せず、「知る→やってみる→できる→説明できる→作る」という螺旋の段階に自分の学びを位置づけることで、地に足のついた学びへと変えました。記事の結論は一つです。できるようになりたいときはけテぶれを、分かりたいときはQNKSを回す。この使い分けを自覚できれば、学びは止まらなくなります。

🎧 この記事を聴く

1時間目・総合:QNKSのKで全員が発表まで到達する

この日の時間割は、総合・算数(大テスト)・理科・体育・国語の5時間でした。

1時間目の総合は、自己紹介と発表をセットにした授業です。今回は転出が重なったこともあり、4人班を基本にしていたところを、主体を3人班に切り替えました。4人では全員の意見を聞きながらまとめる作業が少し重くなり、発表まで到達できない班が出やすかったからです。3人にしてあげた方がスムーズなのではないかという仮説を持って試してみました。

黒板に書いたのはQNKSの「K(組み立て)」の論理構造図です。四角と線で結ぶシンプルな図ですが、「並列される情報は横に、順列される情報は縦に」というルールを子どもたちはすでに身につけています。3年生の3学期ともなると、「Kだよ」の一言で動けるようになっていました。

発表の流れはこうです。自己紹介で強み・弱みを話す(N:抜き出し)。それをKで論理構造図にまとめ、「このようにこういう班でした。だから今週はこういう目標で頑張ります」という形で全員が役割分担しながら発表する。3人班にしたことで、この流れがスムーズになりました。この日はほぼ全班が発表まで到達しています。自己紹介から発表への組み立てを、QNKSの論理構造図が支えていた時間でした。

2時間目・算数:大テストから大分析まで一続きにする

2時間目は算数の大テストです。テストの進め方を聞くと、この授業の構造がよく分かります。

やった子から出しに来る。出てきた子に対してすぐにフィードバックをする。点数メモを取りながら、第二陣・第三陣のフィードバックも重ねていく。じっくり考えている子と、プラス点(上限の解放)を狙って解説や類題を書き続けている子を最後まで待ってから、返却を開始する。この進め方で、テスト時間内にフィードバックと返却まで終えてしまいました。

返却が速いことが目的ではなく、「提出直後に自己採点できる状態」を作ることが目的です。子どもたちがテストを提出するとき、業者テストに付属の見直しシートも一緒に持って帰ります。見直しシートには答えと解説が全部載っているので、提出した直後に自分で採点ができます。提出直後は全問の答えを記憶している状態ですから、間違いがその場ですぐ発見される。だから、すぐに大分析に入れるのです。

大分析のイメージ
大分析のイメージ

大分析は、点数の処理ではなく「今現在何が入っていて何が入っていないのか」を学期末の段階で確認するための時間です。返却されたテストを受け取りながら、自己採点との答え合わせをして、大分析を続きから進めていく。フィードバック・自己採点・大分析が一続きになることで、子どもが自分の現在地をつかめる状態が生まれます。

間違えた問題については、「本当に分からなかったのか、ケアレスミスだったのか、時間がなかったのかの3つで見てください」と伝えました。最悪のパターンは、本当に分からなかったのに、テスト前にそれを自覚できていなかった場合です。単元進行中に乗り越えられるはずのハードルを、気づかずに通過してしまっている。そのことがテストで初めて可視化されるわけです。

80点を最低限の明示として設定しているので、80点以上取れていれば一旦それでいい。大切なのは教科書に赤丸をつけておくことで、それが「学期末に復習すべき問題のリスト」になります。苦手だと分かっていた問題は、単元末の総復習テストで取り戻すチャンスがある。その見通しも合わせて伝えました。

間違いは宝物で、成長の種です。種がそこにあると、学期末の自分に向けてお知らせする。それが大分析の役割です。プラス点を狙う子は、解説を書いたり、教科書とは異なる類題を自分で作ったりしながら最後まで残っています。すべて加点対象です。上限を解放するということは、最低限をクリアした先に別の高みがあることを示し続けることでもあります。

3時間目・理科:遊びを否定せず、現在地の自覚で地に足をつける

理科は磁石の単元に入っています。授業の最初に黒板に書いたのは、螺旋上昇の5段階です。

「知る→やってみる→できる→説明できる→作る」

理科における「知る」とは教科書を読むこと。「やってみる」は実験。「できる」は実験の成功。「説明できる」はノートにまとめること。「作る」は自分なりの問いや、理科広場に紹介された磁石のおもちゃ作りなどです。

学びの階段
学びの階段

この流れの中に自分の学びを位置づけてくださいと伝えました。一つずつ積み上げるとき、学習はふわふわしたものになりにくい。それがこの問いかけの意図です。

理科はキットが手元にあり活動が多い教科なので、遊びのような学びになりやすい面があります。遊びが素敵なことであることは間違いありません。問題は、遊びだけでそれがどの学びにつながっているかを自覚せずにいることです。遊びを学びに変えるには大量の経験が必要で、学校の理科は週2時間しかありません。だからこそ、現在地と段階を自覚することで、遊びが地に足のついた学びへと変わっていくのです。

この話を3年生にしたとき、「どの子が分かっているかは分からないけど、上位の何割かは分かっている」というスタンスで語りました。教師の語りは、全員が即座に概念を理解することを前提にしない。何が大切かを場に伝える働きをするのが語りです。この内容が難しくても、「先生がこんだけ一生懸命喋るぐらい地に足のついた学びは大切なんだな」と感じれば、それで十分だと思っています。

実際に問いを深めている子は、磁石とクリップを近づけて「どちらが引き寄せているのか」を試し、図書室の本を自分で持ってきて確かめるという行動を取り始めました。支援員さんに「磁石の本が欲しい」と自分から聞きに行った子もいました。今まさに興味を持っているものについて図書室の本を読むと、子ども向けに作られた半歩先の情報がちょうどよく入ってくる。問いと答えが行ったり来たりするこの営みにこそ、理科の学びの意味があります。

4時間目・体育:けテぶれの「分析」を身体運動に広げる

体育は閉脚跳びの練習です。練習コースをレベルで分けていて、到達基準を設定しました。

体育でけテぶれを使う難しさは、分析の部分にあります。計算や読み書きならノートに自分の試行が残るので分析できます。でも跳び箱で飛ぶ姿は、自分では見えません。

そこでタブレットで動画を撮りました。スローにして見ると、「ここで足がばらけている」「ここで目線が下がっている」ということが可視化されます。これが体育における分析です。タブレットは1台なので、「詳しく分析したくなった時は先生を呼んで」と声をかけながら、フィードバックを渡し続けました。自分では見えない姿を動画で可視化することで、けテぶれの「分析」が身体運動の領域にも成立するのです。

5時間目・国語:止まった学びを動かすのは、けテぶれかQNKSか

5時間目の国語は、手引きの問題に答えていく授業でした。早い子はすでに全部終わっています。一方、前の授業から何時間も経っているのに、まだ1問目で止まっていた子がいました。

聞いてみると、「分からなくてずっと止まっていた」ということでした。粘って悩んで考え続けること自体はいいことです。ただ、止まったまま動かないことが問題でした。「分からない」と感じてそのまま止まっているのは、けテぶれが回っていない状態です。

分析が進まないときは、他者に頼ればいい。友達でも、先生でもいい。「やってみる→先生に見せる→フィードバックをもらう→練習する→またやってみる」というサイクルで、けテぶれは回ります。止まったままでいることが、一番まずい状態なのです。早い子たちも迷いながら進んでいます。迷ったらとりあえずやってみて、先生に見せにくる。そこで分析をもらって練習する。その繰り返しで前に進んでいるのです。

けテぶれとQNKSの両輪
けテぶれとQNKSの両輪

ここで一つ整理があります。「粘って悩む」のはQNKSの動きです。大事な言葉を抜き出し(N)、組み立て(K)、整理することで分かろうとする。分からない・分かりたいときはQNKSを回す。できるようになりたい・できたいときはけテぶれを回す。

どちらが回っているかを自覚できれば、学びは止まらなくなります。どちらかが回っていないと、何時間あっても前に進めない。その自覚を持つことが、学びのコントローラーを手に入れるということです。

まとめ:使い分けの自覚が、学びを動かし続ける

この日の5教科を通して見えてきたのは、けテぶれとQNKSが教科を超えて同じ役割を果たしているということです。

総合ではQNKSのKが論理構造図として班発表を組み立てる土台になりました。算数では即時フィードバックと見直しシートを組み合わせて大分析へつなぎ、間違いを成長の種として学期末の自分に知らせる仕組みを作りました。理科では螺旋上昇の段階に自分の学びを位置づけることで、遊びが地に足のついた学びへと変わりました。体育では動画分析という形でけテぶれの「分析」を身体運動に持ち込みました。国語では止まった学びを動かすために、けテぶれかQNKSかという使い分けを子どもに語りました。

学びが止まったとき、できるようになりたいならけテぶれを回す。分かりたいならQNKSを回す。この使い分けを子ども自身が自覚できるようにすることが、教師としての語りとフィードバックの役割です。子どもが自分の現在地から次の一歩を選べる状態を作ること。それが、この一日の授業を貫いていた軸でした。

この記事が参考になったらシェア

Share