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QNKSで学びを深化させる:教育実践のQ&Aから学ぶ指導のヒント

主体的な学び思考の可視化情報活用能力探究自己調整学習

QNKSは、子どもたちの思考を可視化し、主体的な学びを促す強力なツールです。

学習が苦手な子には、自己否定感を抱かせないハードルの設定と、その理由を伝える声かけが重要になります。

インプットとアウトプットのバランスを意識し、サイクルを柔軟に活用することで、あらゆる教科で「筋の通った指導」が実現できます。

ザラ紙1枚で学びが展開するQNKSの実践報告

QNKSは、学習の回転数を上げることが非常に重要です。意味のあることをたくさん繰り返す中で、学びは深まっていきます。

ある先生から、素晴らしい実践報告をいただきました。

> 先週の避難訓練の振り返りで、ザラ紙を1枚渡したところ、子どもたちから自然と「プラスマイナス矢印(心マトリクス)を書けばいいですよね」「Nは箇条書きでいいですか」といった声が上がりました。 > > さらに、 > > - お「は」し「も」の約束を表にして自己評価する子 > - オリジナルの避難ワードを作る子 > - 避難するまでの気持ちの変化を心マトリクスで表現する子 > > など、多様なアウトプットが見られました。子どもたちの手にQNKSが渡った瞬間を感じ、成長を実感しました。

このように、特別な準備をしなくても、ザラ紙1枚で子どもたちが自ら学びを展開できる姿は本当に素晴らしいです。ツールが子どもたちの手に渡り、思考の道具として定着している証拠と言えるでしょう。

QNKSとテスト作成の考え方

まずは自分で言語化してみる大切さ 「QNKSと算数の幹の関わりについて、自分で言語化しようと思ったが、葛原さんの考えを聞いて圧倒されてしまった」というコメントがありました。

これは、例えば大学受験の国語の勉強法にも通じる話です。問題文を読んだ後、すぐに選択肢を見るのではなく、まず自分の頭の中で答えを作ってから選択肢を見ると、惑わされずに正解を選びやすくなります。まずはご自身で考えてみることが、理解を深める上で非常に大切です。

テスト作成の悩み:自作すべきか? > 私の自治体では業者テストを使う習慣がなく、自作しています。授業とテストがリンクするのは良い点ですが、難易度設定に苦慮します。最低限の内容をクリアした子が80点を取れる難易度にすべきでしょうか。

テストの自作は、難易度設定はもちろん、客観性や公平性の担保が非常に難しい作業です。労力もかかるため、個人的には業者テストの購入をおすすめします。教育同人社のようなカラーテストは高価ですが、青葉出版など安価なテストを提供している会社もあります。委託できる部分は積極的に外部の力を借りることも、働き方改革につながります。

もし自作されるのであれば、「最低限の内容をクリアした子が80点を取れるレベル」という基準で作成するのは良い考え方だと思います。

QNKSで思考と成長を「見える化」する

> QNKSのN(抜き出し)とK(構造化)をすることで、自分がどこまで考えられているのかが分かり、他者への理解や支援にもつながるのでしょうか?

まさしくその通りです。QNKSの根本は「自分の頭の中を表現する」ことです。ノートやQNKSを見せ合うことで、「あなたはここまで理解しているんだね」ということが一目で分かり、的確な支援が可能になります。

また、子どもたちにとって「たくさん書けるようになった」という事実は、目に見える成長であり、学習の楽しさにつながります。書く量や表現の豊かさは、子ども自身が成長を実感できる評価基準になります。その実感を支える仕組みとして、QNKSは非常に有効です。

教師の視点を持たせ、学びの次元を上げる

> 「教師の視点で考えさせる」という上限の解放は、どの教科でも使えますね。

子どもたちを教師の立場に立たせることで、私たちはさらにその上から教室全体を俯瞰して見ることができます。このように視座を上げていくアプローチは、学びの質を大きく向上させます。

中学校の社会科でQNKSを学んだ生徒たちは、探究のサイクルを意識した探究活動が非常にうまい、という報告もいただいています。QNKSは、情報の取り扱い、つまり情報活用能力を鍛えるプロセスそのものです。サイクルを回す感覚が身につくため、探究活動が得意になるのは必然と言えるでしょう。

インプットとアウトプットの黄金バランス

> 葛原さんのVoicyを一旦休憩し、読書に専念した時期があります。情報を浴びるのには体力と精神力が必要だと感じました。

これは非常に重要な視点です。本を読んだり音声を聞いたりすることは、QNKSでいうところのN(抜き出し・情報収集)にあたります。

  • N(インプット)ばかりしていると、情報が散らかってしまいます。
  • K(構造化)S(表現)は、情報を浴びていない時間に脳内で構築される側面があります。

睡眠中に情報が整理されたり、ふとした瞬間にアイデアがひらめいたりするのは、まさにこのプロセスです。情報に触れない時間を作ることで、脳内でKSが促進されるのです。

インプット(N)がある程度たまったら、一度距離を置いて整理・構築(K, S)する時間を作る。このバランスが、効果的な学習には不可欠です。

「筋の通った指導」がもたらすオーセンティックな学び

> QNKSを使うようになってから、自分の中で子どもたちへの作文指導の筋が通った気がします。

この「筋が通る」という感覚は、子どもたちにも必ず伝わります。そして、QNKSのすごいところは、その筋が全教科にわたるという点です。

作文を書く活動も、社会の教科書を読む活動も、根底では同じ思考プロセス(QNKS)を使っている。この一貫性は、子どもたちにとって学びの真正性(オーセンティシティ)を高めます。

よく「生活経験と学びをつなげよう」と言われますが、QNKSけテぶれは、授業そのものをオーセンティックな活動にします。「僕たちはこのやり方で学校生活を送っているんだ」という感覚が、学びをより本質的なものにしてくれるのです。

学習が苦手な子へのアプローチ:自己否定感をなくす声かけ

> 学習がなかなか難しい子への導入やフォローはどのようにされていましたか?

最も大切なのは、自己否定感や「できない」という感情を過度に感じさせないことです。

例えば、けテぶれの週の振り返りでは、「1文字でも書けたらすごい」と伝えていました。なぜなら、これまでの学校生活で、1週間の自分を振り返って何かを書こうとすること自体がなかったからです。その思考活動そのものが素晴らしく、結果として1文字でもアウトプットできたことは、人生において大きな進歩なのです。

このように、ただ「すごいよ」と褒めるのではなく、なぜそれがすごいのか、その活動にどんな価値があるのかをロジックで補強してあげることが重要です。

  • 「表記は1文字でも、そこに至る思考がものすごく豊かだから素晴らしい」
  • 「今やっていることは、大人になっても役立つすごく大切なことなんだよ」

こうした語りかけがあれば、他のたくさん書けている子も嫌な気はしません。子どもたちは放っておくと、自然と周りと比べて「自分は100分の1しかできていない」と現状を否定し始めます。その前に、指導者が「主体性の芽を折らない」声かけを意識的に行うことが、学習意欲、つまり回転数を上げる秘訣にもなるのです。

QNKSサイクルの柔軟な活用法

> 回転数を上げるために、Q(問い)とN(抜き出し)は例示して、K(構造化)とS(表現)だけを書かせるというスタイルも効果的でしょうか?

非常に良いアイデアだと思います。QNKSけテぶれもサイクルなので、どこから始めても構いません

  • 分析だけやると、次は練習したくなる。
  • 練習すると、次の計画を立てたくなる。
  • 計画を立てると、実践したくなる。

Nを見たらKをしたくなるし、KやSをしているうちに次のQ(問い)が浮かんでくる。このようにつながっているのがQNKSの強みです。子どもたちの様子を見ながら、柔軟に切り分けて活用してみてください。