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子どもの「やりたい!」を引き出す関わり方の秘訣〜「けテぶれ」的視点から学ぶ指導者の役割〜

けテぶれ主体性現在地現在地からの一歩余裕

子どもの学習意欲を引き出すには、まず本人の「やりたいこと」を聞く「けテぶれ」の計画段階が重要です。

指導者は子どもの興味の「半歩先」を提示することで、主体性を尊重しながら学びを深めることができます。

これを実現するには、指導者自身が学習内容を体系的に理解し、心に「余裕」を持つことが不可欠です。

はじめに:身近な会話から見えた教育の本質 こんにちは。「けテぶれチャンネル」の葛原です。 先日、ご近所のママ友とお話しする機会がありました。その方には幼稚園年長さんのお子さんがいて、最近、簡単な計算に興味を持ち始めたそうです。

「1+1=2」や「2+2=4」と楽しそうに言う姿を見て、「興味があるなら」と、少し発展的な内容である「10の合成(1と9、2と8など、足して10になる組み合わせ)」を教えてあげようとしたそうです。

最初は食いついてきたものの、「2と8で10」「3と7で10」と話が進むにつれて、お子さんは混乱してしまい、ついには「わからない!」と泣き出してしまったとのこと。

楽しく始めたはずの算数が、うまくいかないコミュニケーションで終わってしまったのです。

鍵は「けテぶれ」の計画段階にあった その方は、私が提唱する「けテぶれ」のことを知ってくださっており、この出来事を振り返って「ハッ」としたそうです。

「もしかして、けテぶれでいう計画のステップが抜けていたからではないか?」

つまり、子ども自身が「今日何をやりたいか」「何を知りたいか」という意思を確認しないまま、一方的に情報を押し付けていたことが原因ではないか、と考えたのです。

そこで、次にお子さんから「算数の話がしたい」と言われたとき、アプローチを変えてみました。いきなり教えるのではなく、まず「どんなことが知りたい?」「何をやってみたい?」と問いかけたのです。

すると、子どもの興味や反応に合わせて、

  • 「10の塊」の話に発展させるか
  • 単純な計算をたくさん楽しむ方向にするか

といったように、関わり方を柔軟に変えられるようになりました。その結果、お子さんは再び算数を楽しむようになり、親子での学習がうまく進み始めたと嬉しそうに話してくれました。

このエピソードは、けテぶれという学習の枠組みが、子どもとのコミュニケーションを改善し、主体的な学びを支援するツールとして機能することを示す素晴らしい事例だと感じました。

指導者の役割とは?子どもの興味の「半歩先」を照らす 子どもの「やりたい」という気持ちに応えることは非常に大切です。しかし、それだけでは学びの発展には限界があります。子どもが次に何に興味を持つかをただ待っているだけでは、学習はなかなか進んでいきません。

ここで重要になるのが、指導者の役割です。それは、子どもの興味の「半歩先」を提示してあげることです。これは心理学でいう「発達の最近接領域」の考え方に近いものです。

子どもが今いる場所から、少しだけ手を伸ばせば届くような、新しい世界を見せてあげるのです。

例えば、先ほどの算数の例で言えば、お子さんの興味や思考の方向性を見極めながら、

  • Aの方向:数の組み合わせに興味があるなら、「10の塊」の話をする
  • Bの方向:計算そのものを楽しみたいなら、色々な足し算の問題を出す
  • Cの方向:数の増減に関心があるなら、「引き算」の世界に誘う

このように、複線的な見方で次に進むべき道を複数用意し、子どもがどの方向に進みたいかを見ながら、適切な刺激を与えることが求められます。

指導者に求められる「体系的な理解」と「余裕」 では、どうすれば子どもの「半歩先」を的確に提示できるのでしょうか。 そのために不可欠なのが、指導者自身が学習内容を体系的に理解していることです。

指導者は、子どもの現在の能力や好奇心(=現在地)を、その学問全体の体系の中に正確に位置づける必要があります。そして、「今ここにいるこの子には、次にこんな道も、あんな道もある」と、点ではなく面で、つまり領域として次のステップを把握しておくのです。

この体系的な理解があるからこそ、指導者は心に余裕を持つことができます。

この余裕が、子どもの「やりたい」という気持ちを尊重し、柔軟に関わることを可能にします。逆に、指導者に余裕がなくなると、「あれをやりなさい」「これを覚えなさい」といった一方的な指示になりがちです。

幼稚園のお子さんとの足し算のやりとりという、非常にプリミティブな事例の中に、実は教育における極めて重要な原則が隠されていました。

指導者の認識の広さ、そしてそこから生まれる心の余裕が、子どもたちの学びの可能性を広げていくのです。