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個人の学びをチームの力に変える「チームけテぶれ」実践法

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けテぶれやQNKSは個人の自己調整学習を支える技術として知られていますが、クラス全体に共有されることで協働的な学びを整える土台にもなります。この記事では、社会科の壁新聞づくりを題材に、個人で回していたけテぶれのサイクルをチーム単位へ拡張した実践を紹介します。QNKSで全体計画を組み立ててからけテぶれで実行に入るという流れ、3+3観点を使ったチームの振り返り、そして「今NをしているのかKをしているのか」という共通言語の効果を具体的に解説します。

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けテぶれはチームでも回せる

けテぶれというと、個人の学び方を支えるスキルや技術というイメージが強いかもしれません。しかし考えてみると、これはいわゆるPDCAサイクルと同質のものです。PDCAが組織の中で回せるように、けテぶれもチーム単位で回すことは原理的に可能です。

ただし、それは決して簡単ではありません。個人でサイクルを回すこととチームで回すことの間には、意思統一・役割分担・協働という層が加わるからです。チームけテぶれは、個人のけテぶれが教室に根付いていることを前提に、少しずつ導入できるものです。

子どもたちが積み重ねてきたのは、授業の最初に計画を立て、実行し、最後の5分で振り返るというサイクルです。シンプルに言えば、自己調整学習における予見・遂行・省察の繰り返しです。チームけテぶれとは、この計画・実行・振り返りのそれぞれをチーム単位で行う実践に他なりません。一見、個人的な学びを促進するための技術として受け取られがちですが、このサイクルはクラスで共有されることで、協働的な学びを支え得る手立てにもなります。

社会科壁新聞づくりで試したチームけテぶれ

ある学級では、社会科の学習として「社会科見学で集めた情報をもとに、チームで壁新聞をつくる」という6時間構成の単元に取り組みました。見学のノートには、子どもたちがたくさんメモを積み重ねてきた材料があります。それを抜き出して組み立て、一つの壁新聞のデザインとして整理していく——この思考プロセスはまさにQNKSです。

1時間目では、チームで集まってどんな内容にするかを考え、ノートを見合いながら情報を抜き出し、新聞の構成を組み立て、デザインを整理するというQNKSの流れをチームで経験しました。QNKSのKは「自分が分かればよい」組み立てですが、Sでは他者意識を働かせる段階です。壁新聞は読み手に向けて作るものですから、チームで「みんなが分かりやすいためにはどのようにしたらよいか」を考えるSの段階が自然と生まれてきます。

けテぶれとQNKSの関係図
けテぶれとQNKSの関係図

こうしてQNKSをチームで回し、全体計画を整理し終えたところで、実行のフェーズ——けテぶれ——へと移行します。「QNKSをして計画を整理したら、けテぶれで実際に実行してみようという流れに入る」という順序が、チームけテぶれの基本的な動きです。

チームで計画を立てる:ゴール・タスク・役割・今日の目標

2時間目の授業が始まったとき、子どもたちはいつものようにけテぶれノートを開いて計画を書き始めようとしました。そこで一度止め、「今日はチームでの活動だよね。だから計画もチームで立てられるはずじゃない?」と投げかけます。「あ、そうか」と気づいた子どもたちは、チームで集まり、計画を立て始めます。

このとき整理すべき要素は次の通りです。

1. ゴールイメージ——「この壁新聞をつくろう」という完成形のイメージをチームで揃える。 2. 持ち時間の確認——全6時間のうち残り5時間が使える、という基本条件を共有する。 3. タスクの洗い出し——完成形に至るために必要な作業をチームで抜き出す。 4. 時間への割り当て——5時間の枠にタスクを組み入れ、優先順位をつける。 5. 役割分担——誰が何を担当するかを決める。 6. 今日の目標——今日の授業でどこまで進めるかを確認してスタートする。

これがいわゆる「大計画」です。やるべきことをN(問いを持って情報を集める)で引き出し、K(自分たちにとって意味のある形に組み立てる)でまとめ、S(他者に伝わる形へ整理する)で全体の学習計画にする——QNKSで大計画を整理したら、けテぶれで実際に実行に入ります。大計画をもとに今日の学習計画を立てれば、今日の計画が定まる。この「QNKSで計画を整え、けテぶれで実行する」という順序がチームけテぶれの骨格です。

実際の授業では、各班がタスクを抜き出して役割を割り当て、新聞活動計画に落とし込んでから活動を始めるという流れが、自然に動いていたといいます。個人でサイクルを積み重ねてきた経験が、チームでの動きとして立ち上がった瞬間でした。

チームの振り返りにも3+3観点を

35分間の実行を終えたとき、子どもたちはいつものけテぶれのクセから、自分の席に戻って振り返りノートを開こうとします。「授業終了5分前にはけテぶれノートが開いている状態を作ろう」と繰り返し話し合ってきたからこそ身についた習慣です。ところが今日はチームでの活動です。「今日は振り返りもチームだよ」と声をかけると、子どもたちは活動場所に戻っていきます。

チームでの振り返りに使う観点は、個人の振り返りと同じです。「今まで使ってきた3+3観点と同じだよ」と伝えます。

3+3観点の振り返り
3+3観点の振り返り

「+(よかったこと)・−(失敗したこと)・→(次の社会の活動ではどうしたいか)・!(ポイントや気づき)・?(問い)・☆(変化)」——この6つの観点で、今度は自分たちの学習を振り返りながら話し合います。「プラスはこういうことだったよね」「マイナスはこういうことがあったよね」と意見を出し合いながら、チームで振り返るノートをともにつくる。個人の内省として培ってきた観点が、チームでの対話を整える枠組みとして機能する場面でした。

共通言語があると協働的な学びが変わる

チームけテぶれを支えているのは、けテぶれとQNKSが共通言語として機能していることです。

グループ活動がうまくいかない場面のひとつは、「みんなが今何をしているかわからない」状態です。ある子は情報を集め、ある子はまとめ方を考え、ある子はデザインを決めようとしている——それぞれがバラバラのフェーズで動いているとき、活動は当然ばらけます。

しかしQNKSが共通言語になっていると、「今はNをする時間だよね」「次はKに移ろう」という合意をチームで持てます。けテぶれが共通言語になっていると、「今は計画のフェーズか、実行のフェーズか」をそろえて確認できます。「今NをしているのかKをしているのか」「計画をしているのか、分析をしているのか、練習をしているのか」——こうしたフェーズの共有が、チームがばらけずに動くための土台になります。

こういう汎用的な技術の共有、すなわち共通技能を持つことが、協働的な学びを支えるうえで大きな意味を持ちます。「考える方法をちゃんと技術として明確に持っていて、それが共通言語になっていると強い」というのはまさにその通りで、考えるプロセスと試行するプロセスの両方がチームで共有されていれば、協働的な学びは自然と整っていきます。個人の学びを支える道具として出発したけテぶれとQNKSが、クラスに根付いたとき、協働的な学びを支える手立てにもなり得る——これがチームけテぶれの核心です。

チームけテぶれの難度と導入の前提

チームけテぶれには相応の難度があります。協働的な発想が求められるうえに、意思統一がなされないと、3〜4人のメンバーの頭がバラバラになりやすいのです。「今何をしているのかわからない」状態に陥ると、チームとしての動きは成り立ちません。

とりわけ中学年の初期段階では、「自分の学習は自分で」という個の意識がまだまだ強い時期です。チームけテぶれを全面展開するのではなく、個人の改善サイクルが教室にしっかり根付いていることを前提に、少しずつ導入していくことが現実的です。今回紹介した学級でも、子どもたちが個人のサイクルを積み重ねてきた蓄積があったからこそ、「今年の子たちは上手にやれているので、ちょっとずつ導入していこう」という判断ができた実践です。

また、チームけテぶれさえあればグループ活動が完成するわけでもありません。リーダーシップやフォロワーシップは、当然プラスアルファとして丁寧に育てていく必要があります。思考・試行のプロセスを揃えることと、チームとして人間関係や役割を機能させることは、車の両輪です。共通言語が整うことでグループ活動の「ずれ」は減りますが、チームを動かす力はそれだけで完結しない、という点は外せません。

授業を超えた転用:会社活動・イベント企画へ

チームけテぶれが授業内で経験できると、自主的な活動への転用が生まれます。

たとえばクラス内で盛り上がっている会社活動やイベント企画は、チームけテぶれの格好の実践場です。「何月何日に何を開催する」というゴールイメージが定まれば、N→K→Sで全体計画を組み立て、日割りで毎日のタスクをけテぶれで実行していく流れは、授業でやってきたこととまったく同じです。ゴールの設定、ルールや役割分担、全体の計画立て、日々のけテぶれによる実行——そのひとつひとつが積み重なって完成へとこぎつける経験を、授業を通じて全員が持てるとしたら、学校生活のさまざまな協働場面に自然と広がっていきます。

授業での経験は練習の場です。そこで得たサイクルの感覚が、自主的な活動の中で使いこなせるようになること——それがチームけテぶれの先にある景色です。

まとめ

チームけテぶれは、個人で回していた計画・実行・振り返りのサイクルを、そのままチーム単位へ拡張した実践です。QNKSでゴール・タスク・役割・時間配分を整理してから、けテぶれで実行に入る。振り返りには3+3観点をチームで使う。そしてけテぶれとQNKSが共通言語になっていることで、グループ活動のフェーズが揃い、協働的な学びの土台が生まれます。

取り組みにはそれなりの難度があり、教室に個人のけテぶれサイクルが根付いていること、リーダーシップやフォロワーシップを並行して育てることが前提になります。しかし、個人の学びを支えてきた技術がクラスの共通言語になるとき、それは協働的な学びを支える力にもなり得ます。「このサイクルはクラスで共有することで、協働的な学びも支え得る手立てになる」——けテぶれとQNKSの可能性を、ぜひ班活動や学習単元の中でも試してみてください。

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