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けテぶれ実践を深める言語化・共有・評価の設計

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けテぶれは、子どもに自由を渡せば自然に深まる実践ではありません。子どもの無意識の工夫を教師が言語化して返すこと、けテぶれ通信や交流会を通じて共通言語を広げること、そして提出頻度をやることを基本線に置いたうえで形成的評価として日々返すこと——この3つが、実践の質を左右します。本記事では、言語化・共有・評価という3つの観点から、けテぶれ実践を深めるための設計を整理します。

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無意識の工夫を「言葉にして返す」ことの意味

子どもが実践の中で自然に見せる工夫には、本人も意識していない知恵が含まれています。たとえば、「なんでここにコメントが欲しいと書いたの?」と尋ねたとき、子ども自身は答えられないことがあります。そういうとき、教師にできるのは「あなたが自然とできている工夫を言葉にしてくれたんだよ」という声かけです。

これがフィードバックの本質です。子どもの無意識の行動を解釈して、思考を文字にして捕まえて返す。 それが、考えるという行為の足場を生み出します。

無意識にやってみるという行動の中には、自動的に駆動しているものが多く含まれています。それを振り返り、言葉によって整理整頓することで、スキルとして固まっていきます。職人的な先生が「感覚やノリだよ」と言い続けているうちは、その技術は他者に伝わりません。言語化されてはじめて共有できる。子どもたちに対しても同じことが言えます。

けテぶれという言語が、学びを見えるようにする

無意識にやってきた学習行為に、計画・テスト・分析・練習という4つの枠組みが与えられると、それまで見えなかったものが見えるようになります。

たとえば、大きなかぼちゃを丸ごと渡されて「料理してください」と言われても、どこから手をつければよいか戸惑います。4つに大きく切り分けて渡された方が、料理に取り組みやすい。さらに言えば、魚を1匹丸ごと渡されるより、3枚におろした状態の方がさばきやすい。けテぶれとは、そういう整理です。 がむしゃらにやってきた行為が、4つの枠組みによって見えるようになる。そして「計画で何をしたか」「テストで何をしたか」という問いかけを通じて、分析的な思考がさらに進んでいきます。

けテぶれ×QNKS
けテぶれ×QNKS

けテぶれという言語が子どもたちの前に提示され、共有されることで、それを合言葉にみんながそこに向かって動けるようになります。これはけテぶれだけに限った話ではなく、あらゆる「学び方の見方・考え方」に共通する処理です。共通言語になり、共通アイテムになる。それがけテぶれを授業に持ち込む一つの理由です。

語ることは、考えることである

「やってみる」の次に来るのが「語り」です。語るとは、思考を文字にして捕まえることであり、それはつまり考えるということです。

意識的に考えるというのは、言葉によって世界を切り刻んでブロック型にし、それらを組み合わせたり組み替えたりすることです。やってみるという行動の中にある無意識の工夫を、振り返って言葉で整理する——それが語りです。

語りをしないと、他者への伝達は難しくなります。なんとなく優れた実践をしている先生が「分からない、感覚だ」と言い続けるのは、やってみる・できるの段階で止まっているからです。言語化されていないから、伝わらない。

子どもたちにとっても同じです。やってみたことを語り、言葉で整理することで、やってみるという精度が高まっていきます。 教師はそこに、「先生はこういう風に切り取ったよ」という言語の提案を添えることができます。先生が提示した枠組みを手がかりに、子どもたちの考えが言葉を得ていく。やってみる⇆考えるの往還が、ここで動き始めます。

けテぶれ通信を「伝える媒体」として使う

けテぶれ通信の運用については、管理職への起案が求められる職場では諦めてしまうという声も聞かれます。しかし「授業で使うプリントは起案しない」という気づきから、学び方を伝えるためのプリントとして位置づけることで同じ扱いで出せた、という実践者もいます。

また、Canvaで作成してQRコードに貼り付け、家庭でも見られるようにするという工夫もあります。TeamsなどのICT環境でノートの写真を共有する方法もあります。管理職やシステムの制約があっても、抜け道を探して伝え続けることが大切です。

けテぶれ通信
けテぶれ通信

保護者にもけテぶれを伝えたいなら、けテぶれ通信はその具体的な媒体になります。 家庭での学習を通じて保護者と共通言語ができると、懇談や日常のやり取りが変わってきます。スポーツをしている子や兄弟間の競争心が強い子が、失敗や努力への解像度を高めていくといった声もあります。2学期を過ぎたころに「先生すごい」という話になれば、それはけテぶれが家庭に根付いた証拠です。

吹き出しのありとなしのけテぶれ通信を使い分けるという方法もあります。穴埋め型にして自分でコメントを書いてみる実践は、語りの練習にもなります。現場の環境に合わせて、伝える形を工夫してみてください。

提出頻度の「自由化」には、要注意

提出の自由度については、安易に解放するとやらなくなります。 初年度から提出を自由にしたら全然出さない状況になって焦った、一旦そうなってしまうと毎日提出を基本に戻すのはかなり大変だった——そういう声は複数の実践者から寄せられています。

子どものやりたさを大事にすることは大切です。ただ、「しんどいけれども力になる」「その先に楽ではないが楽しい世界がある」ということを描いて連れて行こうとするのが教師の役割でもあります。子どもに完全に委ねてしまうと、自己調整学習の土台そのものが緩んでいきます。

毎日やるという意識を消さない方が、学びの深まりは明らかに高い。比重や基準ラインという意味で、やることを基本に置いてよいというのが現時点での見立てです。

ただし、毎日やらないことを否定しないという両輪の感覚も必要です。どちらのあり方も認めながら、現在地から一歩進もうとする子どもを支えていく。その重心の置き方が問われています。

けテぶれ交流会の設計:いつ、どう行うか

けテぶれ交流会は必要と分かっていても、時間が取れないことを言い訳にやっていない、という声があります。タイミングや形式を決めておくことで動きやすくなります。

おすすめのタイミングは、大テストと大分析が終わった後です。結果が出た出ないがはっきりする時期だからです。上限が解放されている子には教える側に回ってもらい、他の子たちがそのノートのブースを回りながら「パクりたい・盗みたい技術」を見ていく——ポスター発表的な形式です。

点数という結果を後ろ盾にして話すと、普段は自信がない子でも語れることがあります。それがまた語りの練習にもなります。学習力の星のポイントが高い子を教える側にするという方法もありますし、師匠と弟子の関係を組む実践もあります。自分は師匠でもあり弟子でもある両方の立場を作ることで、互いの学び方から学ぶ場になります。

交流会の前に語りを入れる、朝の時間に組み込む、各班での交流を経て提出するなど、実践の文脈に合わせた形で設計してみてください。交流会を経て宿題を持ってこなかった子が持ってくるようになったという事例もあります。フィードバックの場としてだけでなく、学級の横のつながりを作る場としても機能します。

学びに向かう力を「現在地から一歩」として見取る

学習指導要領の3観点には「学びに向かう力」があります。これを「粘り強さと学習の調整」という言葉で語ることはできますが、もう少し子どもたちの姿に寄せて定義するとどうなるか。

現在地から一歩踏み出そうとする力、そうしようとする態度——それが学びに向かう力の実態です。

単元の最初から結果の位置まで自分の力で泳いだ。その矢印が長ければ、学びに向かう力はある。しかし、最初から上限が解放されている状態で、ただそれを証明し続けてそこに留まっているとしたら、現在地からの一歩は出ていません。

学ぶということはつまりストレッチゾーンです。コンフォートゾーンにとどまることではない。今までの自分を壊し、変容に向かおうとする。それはしんどいことです。そのしんどいところへ自分の心と体を向かわせようとする態度が、評価の対象です。

現在地から一歩踏み出すためには粘り強くならなければいけないし、学び方を調整する必要もある——一人でやるか仲間とやるか、場所を変えるか休憩を挟むか。そういった学び方の調整も、現在地からの一歩を構成します。一生懸命に取り組んでいるように見えても、できる段階で止まってそこに居続けているなら、そこには「向かう」が足りていない、とも言えます。

評価は、形成的に子どもに返す

評価は、教師が子どもの姿を漠然と見て「なんとなくA」とつけるものではありません。

指導していない、形成的評価として返していない状態で総括的評価だけをつけることには無理があります。 指導としての評価は、日々返していることによってはじめて駆動します。

そのためにけテぶれシートがあり、☆の評価があり、子どもたちへの☆のフィードバックがあります。けテぶれシートのプラスマイナス・やすり・しびっくり・果ての星のそれぞれが、子どもたちの学びに向かう態度を日々記録しています。それを根拠に「なぜこの評価か」を語れる状態を保つことが大切です。

☆のフィードバック
☆のフィードバック

毎日形成的評価として評価するなら、指導しなければいけない。それはつまり、子どもが自分の現在地を知り、一歩踏み出すための材料を教師が日々提供し続けるということでもあります。総括的評価は最終的な判定ですが、その手前に形成的評価の積み重ねがあることが、評価全体を支えます。

先生がなんとなく子どもの姿を見て勝手にAやBをつけているという状況は避けたい——これがけテぶれシートや☆のフィードバックを日々の実践に組み込む理由です。形成的評価の履歴が積み重なることで、子どもたちは自分の現在地を知り、次の一歩を踏み出す根拠を持てるようになります。

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