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学力30ポイントUP!自己調整学習を推進する三重県の小学校訪問レポート

自己調整学習主体的な学び個別最適な学び学びのコントローラーテストの点数

三重県津市の小学校での校内研修の様子をレポートします。

この学校では自己調整学習を推進し、5・6年生の学力テストの成績が30ポイントも向上するなど、驚異的な成果を上げています。

子ども主体の学びの価値や、学年を超えて学び合う「全校算数」という新たな挑戦についても考察します。

はじめに:子どもたちの豊かな学びに圧倒された研修 先日、三重県津市のある小学校で校内研修に参加させていただきました。この学校には昨年度から関わらせていただいており、子どもたちの素晴らしい成長に毎回驚かされます。

今回も5・6年生の複式学級の授業を見学したのですが、子どもたちが非常に豊かで前向きに学んでいる姿に、思わず私も「担任モード」で入り込み、一人ひとりに声をかけ、アドバイスを送っていました。子どもたちも「久しぶり!」と温かく迎え入れてくれ、給食も一緒に食べるなど、深い関係性を築けていることを嬉しく思います。

同時に、子どもたちの学びの様子から次の一手を考え、働きかけるという行為は、脳に高い負荷がかかるものだと再認識しました。それは、子どもたちが自律的に思考し、行動しているからこそ生まれる、教育者にとって嬉しい悲鳴であり、非常に栄養価の高い時間でした。

自己調整学習がもたらした驚異的な成果 この学校は、全校で「けテぶれ」という名称を掲げているわけではありませんが、「自己調整学習」を軸に授業改善を進めています。その中で、目覚ましい成果が数字となって現れていました。

単元内自由進度が定着した5・6年生 昨年度から実践を継続している5・6年生の複式学級では、「単元内自由進度学習」が完全に定着していました。教師による一斉指導の時間はなく、子どもたちはそれぞれが計画シートを使い、自分の現在地を把握しながら学習を進めます。

教科書の内容を2周、3周と進める子もいれば、学んだ内容を元に作文や学習新聞を創作する活動に取り組む子もいます。まさに、一人ひとりが自分のペースで学びを深めている状態です。

学力テストで30ポイント向上という事実 この実践の最も驚くべき成果は、学力テストの結果に現れています。

昨年度、同様の実践をしなかった状況で受けた県の学力テストと比較して、子どもたちの成績が平均で30ポイントも向上したというのです。これは教育界の常識では考えられないほどの伸び率であり、自己調整学習が学力向上に直結することを示す強力なエビデンスと言えるでしょう。

「公教育の軸足を一歩前に進める」ということ 「テストの点数だけが全てではない」「非認知能力が大切だ」という意見はよく聞かれます。しかし、それは二者択一の問題ではありません。

従来の詰め込み教育が批判されるのは、非認知能力を無視している点にあります。私たちが目指すのは、子どもたちが学びのプロセスそのものを自分で作り上げていくことで、非認知能力を育み、結果として学力も向上させるという姿です。

学力の保障はもちろん大前提です。その上で、学びのプロセスにこそ多大な栄養価を含ませる。この学校で見られた成果は、まさに「公教育の軸足が確実に一歩前に進んだ姿」だと確信しました。

他の学年にも広がる学びの輪 この素晴らしい実践は、他の学年にも着実に広がっています。

熱心に取り組む4年生 4年生のクラスでは、漢字の「けテぶれ」が始まったところでした。初めての小テストの結果を受け、子どもたちは真剣に分析を行い、次週の計画を立てていました。驚いたことに、初めての挑戦にもかかわらず、すでに目標の100点を超えるまで練習できている子が何人もいたのです。

担任の先生の熱意も素晴らしく、4月末の時点で「けテぶれ通信」がすでに20号に迫る勢いで発行されていました。先生の情熱が、子どもたちの意欲を力強く後押ししているのが伝わってきました。

探り探りの1〜3年生 1年生から3年生のクラスでも、それぞれの発達段階に合わせて、少しずつ自己調整的な学びを模索し始めている段階です。

学校全体の新たな挑戦:「全校算数」 この学校が次に挑戦しようとしているのが、「全校算数」という非常にユニークな取り組みです。

小規模校の特性を活かし、多目的ホールのような広い空間に1年生から6年生までの全校児童が集まり、一斉に算数の学習を行います。その中で、子どもたちはそれぞれが自分の課題を選択し、自己決定に基づいて学びを進めていきます。

異学年が同じ空間で学び合うことで、どのような相乗効果が生まれるのか。この画期的なデザインの実現が、今からとても楽しみです。

事後研修で深めた思考:子ども主体の学びの価値と課題 授業後の事後研修会では、先生方と以下のような視点で思考を深めました。

  • プラスの側面(価値)
  • マイナスの側面(懸念)
  • 次の一手(矢印)

これらの両面から考えることで、目前のクラスの子どもたちへの具体的なアプローチを検討し、「全校算数」の成功に向けた思考を紡いでいきました。

まとめ:実践を見学できる機会も 三重県では、このような先進的な教育実践が着実に広がりつつあります。

今回ご紹介した学校は、校長先生のご厚意により、研究授業の日でなくともいつでも授業を公開してくださるとのことです。ご興味のある方は、ぜひ実際の教室で子どもたちの学びの姿をご覧ください。

※見学の具体的な手続きについては、後日「けテぶれサロンプラス」等でご案内する予定です。

--- *この記事の元になった音声配信は、noteの「葛原書房」にてテキストで読むことができます。*