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幼稚園の生活けテぶれから考える、自己調整力とキラキラの見取り方

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幼稚園で3日間だけ行われた「生活けテぶれ」の実践から、5歳・6歳の子どもたちでも見通しと振り返りのサイクルが育つことが分かった。さらに、振り返りの場でよく行われる「キラキラさん見つけ」を、心マトリクスの月・太陽・星の観点に接続することで、教師の見取りの解像度は大きく上がる。太陽ルートだけを価値づけると、月タイプの子が「自分にはキラキラがない」と感じてしまう危険がある。また、子どもたちに任せることは大切だが、任せきるだけでは活動や関係性が固定化しやすい。振り返りを次の計画に返し、変化変容を楽しむフィードバックを重ねることで、集団はより豊かに動き始める。

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幼稚園でも回せた、生活けテぶれのサイクル

主体性を大切にしている幼稚園で、3日間だけ担任を担った先生が実践したのは、非常にシンプルな生活けテぶれでした。

朝にその日の計画を立て、1日を過ごして、夕方に振り返る。 ただそれだけです。

やっているのは5歳・6歳の子どもたち。難しいシートも特別な道具もありません。それでも3日間連続でサイクルを回すと、子どもたちはだんだん「次は振り返りだよね」と分かるようになり、見通しの質が上がり、振り返りも楽しそうに取り組むようになったといいます。

幼児期の子どもが自己調整のサイクルを回せるかどうかを心配する声は少なくありません。しかし実態はむしろ逆で、サイクルが明確に示されれば、5歳の子でもそのリズムを捉え、能動的に動いていきます。自分で考えて、自分で決めて、やってみて、結果を自分で受け取って、また再チャレンジする——これがまさにけテぶれのサイクルであり、幼稚園の生活の場においてもそのまま機能するのです。

幼児期から「自分の学びは自分が決める」という経験を積み重ねることが、自己調整力の根っこになります。

キラキラさん見つけを、心マトリクスで解像度を上げる

振り返りの時間には、「キラキラさん見つけ」という活動も取り入れられていました。小学校でもよく見られる実践で、今日どんなキラキラしている人がいたかをみんなで共有するものです。

この「キラキラ」という言葉には、心マトリクスの「星」のイメージが重なっています。みんなで「こういうことが素敵だった」という感覚を磨き合い、共有していく営みは本質的に大切なものです。そして、この活動がある程度根付いてきたとき、次に考えたいのは「キラキラの解像度を上げること」です。

キラキラしている、という感覚をより解像度高く子どもたちが認識できるようになるために、2つの動線を意識すると効果的です。それが「太陽ルート」と「月ルート」です。

心マトリクス
心マトリクス

心マトリクスでは、月から太陽に向かう方向と、太陽から月に向かう方向があります。キラキラに至るルートも同様に2つあり、それぞれ全く異なる輝き方をしています。どちらが優れているということではなく、どちらもキラキラであることを教師がしっかりと見取れるかどうかが問われます。

太陽ルートと月ルート——2つのキラキラ

太陽ルートは、優しい気持ちから始まります。

誰かが給食をこぼしてしまった、誰かが転んでしまった——そういう場面で、優しい気持ちで寄り添い、その人に必要なことを洞察して動く。これが太陽ルートのキラキラです。こちらは場面が明確なこともあり、子どもたちにも比較的見つけやすく、共有しやすいルートです。

月ルートは、自分の努力や得意を高めるところから始まります。

たとえば、音楽の練習を重ねている子が、自分の得意を友だちに教えてあげる、一緒にやろうと誘う——先に自分の中でじっくりと積み上げたものを、他者にシェアするというルートです。お笑いで言えば、ネタを考えて練習して、みんなを笑わせる、というのも月ルートのキラキラです。その裏側には、見えない努力と思考が積み重なっています。

月ルートのキラキラは少し見えにくい分、教師が意識的に見つけて価値づけることが重要になります。そして、こちらのルートが見えてくると、集団として本当に面白くなってきます。

月タイプが見えない教室のリスク

月ルートが得意な子は、実は太陽ルートが苦手なことがあります。「月タイプ」と呼べるこうした子どもたちは、個人の思考や努力が先にガッと回るタイプです。

たとえば、誰かが給食をこぼした場面。太陽ルートが得意な子はパッと動き、必要なものをさっと持ってきます。一方で月タイプの子は、まずその教室の文化やルールを頭の中で確認し、今動いてよいのかを判断し、他の子の動きを見て何が必要かを分析してから、ようやく行動に移ります。ところがその間に、すでに必要な人員が集まってしまって、「もう自分が動く必要はないか」と判断して座ったまま——という状況が生まれます。

傍から見ると、ただ給食を食べながら眺めているだけに見えます。でも頭の中ではこれだけのことが動いているのです。

キラキラさん見つけの場で太陽ルートばかりが紹介され続けると、月タイプの子どもは「自分はキラキラしていない」と感じるようになります。

そうなると月タイプの子は、心マトリクスの左側——イライラやモヤモヤ、ブラックホールの方向に向かってしまいます。月ルートのキラキラを教室の中でたくさん見つけていくことが、こうした子どもたちの内側の価値を守ることにつながるのです。

振り返りを計画に返す——サイクルの完成

月と太陽の2つの観点を意識した振り返りは、そこで終わりではありません。この振り返りは、次の計画に繋がります。

最初の段階では、「今日どんなふうに過ごしたいか」という単純な計画から始まります。そのサイクルが回り始めたら、次は計画の解像度を上げていく段階です。そのための鍵が、月と太陽の観点です。

1日の中で、月の成分と太陽の成分をどれくらい配分するか——外で活動的にみんなと動く時間を多めにするか、中で静かに一人や少人数でじっくり取り組む時間を確保するか——そういったことを子ども自身が考えるようになります。

けテぶれシート
けテぶれシート

週単位で見れば、先週こちらに偏ったから今週は少しバランスを変えてみよう、という調整もできるようになります。これは単に均等にすることがゴールではありません。太陽ばかりが重なるなら「自分は太陽タイプだ」と気づき、そこで輝く方向を探せばいい。 偏りそのものが、自己理解の材料になるのです。

ただし、ときには反対側への「冒険」も大切です。太陽タイプの子が月の活動に挑戦すること、月タイプの子が太陽的な動きに踏み出すこと——この「いつもと違う側への一歩」それ自体が、キラキラです。他者貢献だけでなく、自分の変革に向けたチャレンジも、立派なキラキラとして価値づけていきましょう。

任せるだけでは固定化する——変化変容を価値づける

子どもたちに任せること自体は、とても大切なことです。しかし「任せる」だけでは、活動も関係性も少しずつ固定化していく面があります。

人は、豊かに放っておくと偏っていきます。好きなことばかりをやるようになるからです。それ自体は悪いことではありませんが、固まっていくと止まります。関係性も活動も流動的であるほうが、集団としてより自然で豊かな状態になっていくのです。

「任せる」に加えて、変化変容のチャンスを価値づけるフィードバックを教室の中で重ねていくことが必要です。

いつも同じグループで遊んでいた子が、別のグループに入ってみた。いつも一人でやっていた子が、誰かと一緒にやってみた。いつも外で動いていた子が、今日は中でじっくり取り組んでみた。こうした「変化そのもの」を見つけて、「それもキラキラだよ」と伝えていくことで、関係性が流動的になり、活動が広がり、集団の豊かさが増していきます。

信じて任せることと、変化変容を楽しむフィードバックをかけること。この両方があってはじめて、子どもたちの自己調整力と集団の質は高まっていきます。

まとめ

幼稚園での3日間の実践が示したのは、子どもたちは幼い時期から、自分で決めてやってみて振り返る力を持っている、という事実です。

そのサイクルを回しながら、「キラキラさん見つけ」の場で太陽ルートと月ルートの2つの観点を子どもたちと共有し始めると、見取りの解像度が上がります。月タイプの子の内側の思考や努力がちゃんと見えるようになり、「自分にはキラキラがない」という誤解を防ぐことができます。

振り返りで得た観点は計画に戻り、子ども自身が活動の配分や新たな冒険を考える入口になります。そして任せるだけでなく、変化変容を楽しむフィードバックを教室の中に置いていくことで、集団はゆっくりと、しかし確かに豊かになっていきます。

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